公益認定、公益法人化を目指す団体がまず最初に行うべきことは、公開されている「公式」情報を全て収集することです。
具体的には、公益法人informationというサイトに掲載されてる手引き、ガイドライン、公益法人対する勧告、不認定事例の答申等は全てダウンロードして印刷し、ファイルすること。
それを熟読することです。
インターネットで不確かな情報を集め、不確かな情報に翻弄されるより先に、公開されている公式資料、公文書を全て読んで理解することが出発点です。
まずは公文書、公式資料を全て入手して、それらを熟読することが何より重要です。
ただし、公開されている資料、法令、ガイドライン等は膨大で、それらを熟読し理解することは、かなり大変です。
私自身は公益法人の支援に携わって約10年の経験がありますので、だいたい頭に入っていますが、これをゼロから勉強しようとしたら相当苦労すると思います。
恐らく、公益認定を目指すのが嫌になりますね笑
現実的には、公文書で公開されている資料を全部熟読したとしても、それだけでは認定を取ることはかなり難しいと思いますが、まずは公文書で公開されている情報の理解が大前提になります。
ちなみに、公益認定を目指す団体が某自治体に相談に行くと、関連する資料が全部ファイルされた500ページ位の資料集を渡されて、「これを全部読んで、公益認定を本気で目指す気になったら申請してください」と言われて相談は終わったそうです。
まあ、役所の対応としては当然ですが、そのような対応をされて途方に暮れた団体の事務局長さんから、私は公益認定の相談を受けたことがあります。
公益認定制度は、法人による自治を前提にしています。法人の自主性、自律性を前提とした制度です。
つまり、自分達で法制度を勉強し、理解し、適切に使いこなす能力があることが前提なのです。
役所に相談すれば、認定を取れるように指導してくれるわけではありません。
ですので、公益認定取得を目指す(検討する)団体は、まずは団体内部で公益認定に向けた部会、委員会等を設けて制度を研究し、制度を正しく理解し、認定に向けた課題の洗い出しを行うことが必要になります。
法人の事務局長1人に任せられるような単純な制度ではありません。組織的に対応することが必要です。
ただし、公文書で公開されている情報をどれだけ勉強しても、それだけでは公益認定を受けることは困難です。
- 公開されている情報(法律やガイドライン)には書かれていない、現実の運用はどうなっているのか?
- 公文書で公開されている情報(建前)と審査する役所側の実際の対応(本音)の違い。
公文書によって公開されている情報を十分に収集し、理解すると同時に、「実際の運用は公開されている情報通りではない」という現実を知ることも、また重要なのです。
そのため、私は、公益認定を目指す団体に団体からご依頼を受けて、公益認定の実際の運用や役所側の現実の対応がどのようなものなのか、それを乗り越えて公益認定を受けるためには団体としてどのような準備が必要なのか等をレクチャーしています。
そのような課題の洗い出しのプロセスの中で、「そもそも自分達は公益認定にふさわしくない団体である」ことが判明したり、「公益認定を取ることのハードルの高さ」を実感することになります。
そして、「自分達が公益認定を取ることは非常に難しい、ハードルが高い」という正しい現実認識を持てた上で、それでもなお、公益認定を目指すだけの価値、必要性、団体としての事情があるのであれば、公益認定を目指して努力を続けることになります。