社員総会の決議要件に関する基礎的なご質問(新型コロナウィルス対応)

社員総会

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新型コロナウィルスに対応するため、社員総会の開催においては「書面・電磁的方法による議決権行使」や「決議の省略」などを活用することなどが有効です。

この点についてはすでに、3月に書いた記事でもご紹介した通り、内閣府の「新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う公益法人の運営に関するお知らせ」にも記載されています。

しかしながら、通常の会議の開催方法とは異なる不慣れな方法であることから、いざ書面による議決権の行使等を実行しようとすると、実際のプロセスにおいて戸惑う団体様も多いようです。

私自身もお付き合いのある団体様から、手続き上の注意点や法的な根拠等のご質問を受けます。

そこで今回は、基礎的な内容ですが、社員総会の決議要件に関わるご質問を取り上げます。

よくあるご質問

公益(一般)社団法人において、ある社員が、書面・電磁的方法による議決権行使を行った場合、当該社員は、当然、社員総会開催の場所(会議室・会場など)に物理的には出席しないことになります。

物理的には出席していないのに、そもそも「出席した社員の議決権の数」に含めていいのでしょうか?

このような、基礎的ではありますが社員総会成立の根幹に関わる重要なご質問を受けます。

社員総会においては、一般法人法第49条第1項に規定する「定足数」(総社員の議決権の過半数を有する社員が出席)及び「可決要件」(出席した当該社員の議決権の過半数)が問題になるからですね。

結論から言えば、回答はYESです。

書面や電磁的方法による議決権行使を行えば、「出席した社員の議決権の数」に含めることができます。

根拠は一般法人法の第51条第2項・第52条第3項です。

参考:一般法人法第51条・52条抜粋

(書面による議決権の行使)
第五十一条 書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を一般社団法人に提出して行う。
2 前項の規定により書面によって行使した議決権の数は、出席した社員の議決権の数に算入する。
3 一般社団法人は、社員総会の日から三箇月間、第一項の規定により提出された議決権行使書面をその主たる事務所に備え置かなければならない。
4 社員は、一般社団法人の業務時間内は、いつでも、第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧又は謄写の請求をすることができる。

(電磁的方法による議決権の行使)
第五十二条 電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、一般社団法人の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該一般社団法人に提供して行う。
2 社員が第三十九条第三項の承諾をした者である場合には、一般社団法人は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
3 第一項の規定により電磁的方法によって行使した議決権の数は、出席した社員の議決権の数に算入する。
4 一般社団法人は、社員総会の日から三箇月間、第一項の規定により提供された事項を記録した電磁的記録をその主たる事務所に備え置かなければならない。
5 社員は、一般社団法人の業務時間内は、いつでも、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求をすることができる。

コロナウイルス感染拡大の要因となる3密を防ぐために、なるべく人が集合しないで書面や電磁的方法で社員総会を成立させる必要があるわけですが、

その場に出席してない人を出席したことにしてしまっていいの?

という素朴かつ根本的な疑問は、社員総会開催事務の担当者の方が一度は抱く疑問ではないかと思います。

結論としては、以上のように、条文上「出席した社員の議決権の数に算入する。」と明確に書かれていますので問題ないということになります。

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